【ひな形あり】はじめてでもできる借用書の書き方と注意点
借用書を簡単に作る方法をまとめました。
お金の貸し借りをするときに、必ず作っておきたいのが「借用書」です。借用書は「お金を借りましたよ(または貸しましたよ)」という証明書のようなものです。何も問題がなければよいのですが、金銭トラブルが起こった時に、借用書は法的に非常に重要な意味を持ちます。問題がないと思っても、いざという時のために、必ず作っておくことをおすすめします。
借用書の書き方
借用書に記載する内容として代表的なものは以下のとおりです。
- お金を借りたという一文
- 借りた日時
- 金額
- 返済方法
- 返済開始日
- 毎月の返済日
- 毎月の返済額
- 最終返済日
- 借り主の署名と押印
その他、連帯保証人がいる場合は保証人の署名・押印など。
より正式な金銭消費貸借契約書の場合は、借り主、貸し主の双方で契約書を一通ずつ保管しますが、単純な借用書の場合は、借り主が署名・押印して、貸し主が保管する形となります。
署名は必ず手書きで行い、押印はハンコがなければ拇印(指印)でも構いません。
借用書を書く上での注意点
実際に借用書を書く時に、以下の点に注意する必要があります。
ペナルティを設定しておく
キャッシングの場合でもよく「返済遅延損害金」が設定されていますが、借用書でも同様に、毎月の返済日にお金が返されなかった場合に、一定のペナルティがあることを記載するのが望ましいです。
ペナルティを設定しておかないと、借りた側からすれば返済しなくてもいいやとなってしまいます。ペナルティの設定方法としては、
分割金の支払いを2回以上怠った時は当然に期限の利益を喪失し第1項の金員より既払い分を除いた残金及び支払い済みまでこれに対する年10%の金員を付して支払う。
このような感じで良いと思います。
最終返済日を明確に記載すること
借用書には、必ず最終返済日を記述する必要があります。
借金には時効があって、10年で時効が成立します。借用書に最終返済日が記載されている場合は、最終返済日から10年後が借金の時効となります。しかし、最終返済日が記載されていないと、貸した日から時効がカウントされてしまいますので、お金を貸す側にとってのリスクとなります。
保証人も立会いのもと借用書にサインしてもらう
人にお金を貸す時に、連帯保証人を立てることもあると思います。
しかし、「連帯保証人にサインをしてもらうから、一旦借用書を持ち帰らせてほしい」と言われた場合は注意が必要です。もし、借り手が自分で保証人の名前とニセの印鑑を押して提出していたら、どうでしょうか?
当然、連帯保証人となっている人は、その事実は知りませんから、貸したお金が返済されなくても、保証人に請求をすることはできません。(例えば、誰かが私の知らないところで勝手に、私の名前とニセの印鑑を使って保証人としてサインしても、私が連帯保証人として支払いを肩代わりする必要はありません)
つまり、お金を貸す時は、本当に連帯保証人本人がサインしてくれたかを確認する意味でも、保証人も立会いの元、書類を作成する必要があります。
訂正印は使わずに書き直すこと
借用書の内容を間違えてしまったり、署名する時に住所や名前を間違ってしまうこともあると思います。このような場合、一般的な契約書では二重線+訂正印などで処理されることもありますが、借用書についてはできれば、最初から書き直すことをおすすめします。
収入印紙は必要か?
貸した金額によって、借用書には収入印紙を貼り付ける必要があります。仮に収入印紙が貼っていなくても借用書としての効力はあります。しかし、収入印紙が貼っていない場合、印紙額の3倍に相当する過怠税が課せられてしまいます。契約金額に対する収入印紙の金額は以下のとおり。
- 1万円未満:非課税なので不要
- 10万円以下:200円
- 10万円以上50万円以下:400円
- 50万円以上100万円以下:1,000円
ページが2枚以上に及ぶ場合
記載内容が多く、借用書がA4用紙の片面に収まらない場合は、以下の方法があります。
- 裏面に記載する
- 枚数を2枚に分ける
借用書の続きを裏面に記載する場合、片面だけに印鑑を押していても問題はありません。しかし、「裏面を見ていませんでした」という言い訳を防ぐためにも、両面に印鑑を押しておくのが理想です。
また、枚数を2枚に分ける場合は、通常の契約書と同様に、割印を押して2枚の書類が一緒に作成されたことを証明できるようにしておきます。
公証人役場に届けると差し押さえができる
万が一、貸したお金が回収できない場合に備えて、事前に担保をとっておくのが理想です。しかし、最終的な手段として「財産の差し押さえ」が検討できますが、差し押さえをするためには、事前に借用書を公証人役場に届け出て、公正証書にしておく必要があります。
公正証書を作成するためには、契約金額に応じて
- 100万円以下:5,000円
- 100万円以上200万円以下:7,000円
- 200万円以上500万円以下:11,000円
の費用がかかります。
しかし、裁判を経てからの差し押さえは手間がかかるので、契約金額が大きい場合や、貸倒れ可能性に応じて、借用書を公正証書にしておくのも方法です。
弁護士に依頼した場合の作成料
契約金額が大きい場合など、自分で作成するのが不安な場合は弁護士に借用書の作成を依頼するのも良い方法です。仮に弁護士に書類作成をお願いした場合、一般的な相場で5万円~10万円となります。
もちろん内容や担当する弁護士によっても相場が大きく変わる世界なので、複数の弁護士に相談してみるのが得策です。
借用書のテンプレート(ひな形)
上記の注意点を参考に、借用書のテンプレート(ひな形)を作ってみました。簡単な借用書であれば、この程度で十分です。
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借用書
中村一郎殿
金壱百五拾万円也
私は平成27年10月1日、金壱百五拾万円を借り受けました。
1.元金は平成30年10月10日までに返済します。
2.返済開始日は平成27年10月10日とします。
3.利息は年4%とし、毎月10日に元金とともに支払います。
4.連帯保証人は、借主の債務について連帯保証します。
5.遅延損害金は年15%とします。
平成27年10月1日
住所 東京都新宿区3-5-9
氏名(借主)山田太郎 印
住所 東京都渋谷区5-1
氏名(連帯保証人)佐藤花子 印
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借用書の改変を避けるために、契約金額は漢数字を用いるのが一般的です。
また、同じく改変を防ぐ意味で、スペースなどは設けずに、文字は詰めて書くことをおすすめしまう。
前述しましたが、必要事項をおさらいします。
- お金を借りたという一文
- 借りた日時
- 金額
- 返済方法
- 返済開始日
- 毎月の返済日
- 毎月の返済額
- 最終返済日
- 借り主の署名と押印
いかがでしたか?
お金を貸す時も、逆に借りる時も双方の合意をとるために、必ず借用書を書いておくことをおすすめします。借用書はその場でもすぐに作成できますし、名刺の裏側に書くといった方法でも良いです。
トラブルが起きないのが一番ですが、万が一に備えてルールの取り決めをキチンとしておくことが大切です。